求人を出す前に、勤務時間・休日のルールを整理できていますか?

「1年単位の変形労働時間制がいいの?」と迷ったときに確認したいこと

「ハローワークに求人を出そうと思ったら、勤務時間や休日のことで迷ってしまった」
「1年単位の変形労働時間制を使った方がいいと言われたけれど、うちの会社に合っているのかわからない」
「労働基準監督署で説明を聞いたけれど、結局どうしたらいいのか判断できない」

このようなご相談をいただくことがあります。

従業員を募集するとき、求人票には勤務時間、休日、残業の有無、雇用形態、賃金などを記載します。
そのため、求人を出すタイミングで、会社の労働時間や休日のルールを見直すことになる場合があります。

特に、繁忙期と閑散期がある会社では、
「1年単位の変形労働時間制を使った方がよいのでは?」
という話が出ることもあります。

ただし、制度の名前だけを聞いて導入を決めてしまうのは注意が必要です。

1年単位の変形労働時間制は、会社に合えば便利な制度です

1年単位の変形労働時間制とは、業務に繁閑がある事業場で、繁忙期には長めに働く日を設定し、閑散期には短めに働く日や休日を増やすなどして、年間を通じて労働時間を調整する制度です。

厚生労働省のページでも、変形労働時間制の概要や、1年単位の変形労働時間制度に関する資料が案内されています。

1年単位の変形労働時間制は、労使協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出ることで、1か月を超え1年以内の一定期間を平均して1週間の労働時間が40時間以下となる範囲で、特定の日や週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度とされています。

たとえば、季節によって忙しさが大きく変わる会社では、制度が合う場合もあります。

一方で、毎月の勤務がそれほど変わらない会社や、急なシフト変更が多い会社では、かえって管理が難しくなることもあります。

「求人のため」だけに制度を入れるのは要注意

1年単位の変形労働時間制は、求人票を作るためだけのものではありません。

導入する場合は、

  • 対象となる従業員の範囲
  • 対象期間
  • 労働日
  • 労働日ごとの労働時間
  • 休日カレンダー
  • 労使協定
  • 就業規則
  • 労働基準監督署への届出
  • 残業代の計算
  • 年度途中入社・退職者の扱い

などを整理する必要があります。

1年単位の変形労働時間制では、対象労働者の範囲、対象期間、特定期間、労働日および労働日ごとの労働時間、労使協定の有効期間などを労使協定で定める必要があり、特定した労働日や労働時間は任意に変更できないと説明されています。

つまり、
「求人票に書きやすいから」
「すすめられたから」
「なんとなく便利そうだから」
という理由だけで入れる制度ではありません。

会社の実態に合っているかを確認してから導入することが大切です。

求人票の内容と実際の働き方は合っていますか?

求人票を出すときは、求職者に対して労働条件を明示する必要があります。

2024年4月1日からは、労働者を募集する場合などに明示すべき事項として、従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項などが追加されています。

求人票に書いた内容と、実際の雇用契約や働き方が違っていると、入社後に
「聞いていた条件と違う」
「休日が思っていたより少ない」
「残業の説明がなかった」
という不満につながることがあります。

求人票を作るタイミングは、会社の労働条件を見直す良い機会でもあります。

迷ったときは、制度より先に「会社の実態」を整理しましょう

労務の制度は、会社ごとに合う・合わないがあります。

1年単位の変形労働時間制が合う会社もあれば、通常の労働時間管理で十分な会社もあります。
1か月単位の変形労働時間制の方が実態に合う場合もあります。
そもそも、まずは雇用契約書や休日ルールを整えることが先、という場合もあります。

大切なのは、制度名から考えるのではなく、まず会社の実態を整理することです。

たとえば、

  • 繁忙期と閑散期がはっきりしているか
  • 年間休日カレンダーを事前に作れるか
  • 日ごとの労働時間をあらかじめ決められるか
  • 急な予定変更が多くないか
  • パート・アルバイトにも適用するのか
  • 残業代の計算を正しくできるか
  • 就業規則や雇用契約書と整合しているか

こうした点を確認したうえで、どの制度が合うのかを考える必要があります。

いろいろな説明を聞いて迷ったときこそ、ご相談ください

労働基準監督署、インターネット、知り合いの経営者など、労務についての情報を聞く機会はいろいろあります。

それぞれの情報は参考になりますが、最終的に大切なのは、

その会社の実態に合っているかどうか

です。

制度のメリット・デメリットを聞いても、
「結局うちの会社はどうしたらいいの?」
と迷ってしまうこともあると思います。

そのようなときは、求人票を出す前に、勤務時間や休日、雇用契約書、就業規則、給与計算の流れを一緒に整理しておくと安心です。

まとめ

求人を出すときは、ただ募集条件を決めるだけではありません。

勤務時間、休日、残業、雇用契約、就業規則、給与計算など、会社の労務管理と深く関係しています。

特に、1年単位の変形労働時間制のような制度を検討する場合は、会社の実態に合っているか、導入後にきちんと運用できるかを確認することが大切です。

「求人票の勤務時間や休日の書き方に迷っている」
「1年単位の変形労働時間制を導入した方がよいのかわからない」
「労基署で説明を聞いたけれど、自社に合うか判断できない」
「雇用契約書や就業規則と求人票の内容を整理したい」
「採用前に労務管理の基本を確認しておきたい」

このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

社会保険労務士事務所キャリア・アヴニールでは、奈良県内の中小企業さまの実情に合わせて、求人前の労働条件整理、雇用契約書、就業規則、労働時間制度の確認をサポートいたします。