6月・7月の給与計算で見落としやすいポイント

住民税・賞与・社会保険の手続き、確認できていますか?

「6月の給与から住民税の金額が変わるのを忘れていた」
「賞与を支給したけれど、社会保険の手続きが必要か不安」
「7月の算定基礎届に向けて、何を確認すればよいかわからない」
「給与計算は毎月しているけれど、この時期は確認することが多くて不安」

このようなお悩みをお聞きすることがあります。

毎月の給与計算は、基本給や時給、残業代、社会保険料、税金などを確認して進めます。
ただし、1年を通して見ると、給与計算は毎月まったく同じではありません。

特に6月・7月は、

  • 住民税の特別徴収額の切り替え
  • 夏賞与の計算
  • 賞与支払届
  • 算定基礎届
  • 雇用保険料率や源泉徴収税額表の確認

など、通常月よりも確認することが増えやすい時期です。

今回は、6月・7月の給与計算で見落としやすいポイントについてお伝えします。

6月は住民税の切り替え時期です

まず確認したいのが、個人住民税の特別徴収です。

住民税の特別徴収とは、給与支払者が従業員の毎月の給与から個人住民税を徴収し、市町村へ納入する制度です。奈良県の案内では、給与支払者は原則として特別徴収義務者として個人住民税を特別徴収することとされており、正規雇用だけでなく、臨時職員やアルバイト等の非正規雇用も含まれるとされています。

住民税は、毎年6月分から新しい年度の税額に切り替わります。

奈良県の案内では、5月31日までに特別徴収義務者あてに「特別徴収税額決定通知書」が送付され、6月以降、その税額を毎月の給与から徴収し、翌月10日までに各従業員の住所地の市町村へ納入するとされています。

そのため、6月給与の計算では、次のような確認が必要です。

  • 新しい住民税額に変更しているか
  • 給与計算ソフトに正しく登録しているか
  • 退職者や休職者の住民税の扱いを確認しているか
  • 途中入社の従業員について、特別徴収へ切り替える必要があるか
  • 市町村ごとの納付額を確認しているか

住民税は、所得税のように会社が毎月税額を計算するものではなく、市町村から通知された金額を給与から徴収するものです。
だからこそ、通知書の内容を給与計算に正しく反映することが大切です。

住民税の反映漏れは、従業員からの問い合わせにつながりやすい

住民税の金額が変わると、従業員の手取り額も変わります。

そのため、6月の給与明細を見た従業員から、

「手取りが先月より少ないのはなぜですか?」
「住民税の金額が変わっているのはなぜですか?」
「この控除額で合っていますか?」

と質問されることもあります。

給与計算担当者としては、単に金額を入力するだけでなく、従業員から聞かれたときに説明できるようにしておくと安心です。

小さな会社では、社長や事務担当者が給与明細について直接聞かれることも多いと思います。
6月給与の前には、住民税の変更を反映できているか、給与明細に正しく表示されているかを確認しておきましょう。

夏賞与がある会社は、賞与計算にも注意

6月・7月は、夏の賞与を支給する会社も多い時期です。

賞与を支給する場合は、通常の給与とは別に、次のような確認が必要になります。

  • 賞与の支給額
  • 所得税
  • 社会保険料
  • 雇用保険料
  • 振込額
  • 賞与明細
  • 賞与支払届

賞与の所得税は、毎月の給与とは計算方法が異なります。国税庁の令和8年分源泉徴収税額表には、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」が含まれており、令和8年分の給与等については、所得税と復興特別所得税をあわせて源泉徴収する際に使用するものとされています。

また、雇用保険料は給与だけでなく賞与にも関係します。厚生労働省は、令和8年度、2026年4月1日から2027年3月31日までの雇用保険料率を公表しており、年度ごとに料率を確認する必要があります。

賞与は毎月発生するものではないため、給与計算ソフトの設定や控除項目の確認を忘れやすい部分です。

特に、

  • 久しぶりに賞与を支給する
  • 初めて賞与を支給する従業員がいる
  • 入社後まもない従業員にも賞与を支給する
  • 産休・育休中、休職中の従業員がいる
  • 退職予定者に賞与を支給する

このような場合は、事前に確認しておくと安心です。

賞与を支給したら、賞与支払届も忘れずに

社会保険に加入している従業員へ賞与を支給した場合は、給与計算だけでなく、社会保険の手続きも必要です。

日本年金機構は、事業主が被保険者および70歳以上被用者へ賞与を支給した場合、支給日より5日以内に「被保険者賞与支払届」により支給額等を届け出ると案内しています。

また、賞与にかかる社会保険料は、実際に支払われた賞与額、税引き前の総支給額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に保険料率をかけて計算し、事業主と被保険者が折半で負担します。

賞与支払届は、給与計算担当者と社会保険手続き担当者が別の場合、情報共有が漏れやすいところです。

小さな会社では、社長や事務担当者がまとめて対応していることも多いと思いますが、
「賞与を計算したら終わり」
ではなく、必要な届出まで含めて確認しておくことが大切です。

7月は算定基礎届の時期です

7月には、社会保険の算定基礎届も関係します。

算定基礎届とは、社会保険料の基礎となる標準報酬月額を見直すための手続きです。

日本年金機構は、7月1日現在で使用している全被保険者について、4月・5月・6月の3か月間の報酬月額を算定基礎届により届け出て、その内容に基づき毎年1回、標準報酬月額を決定し直すと案内しています。決定された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に適用されます。

つまり、4月・5月・6月の給与計算は、7月の算定基礎届にもつながっています。

たとえば、

  • 残業代が多かった月がある
  • 昇給があった
  • 通勤手当を変更した
  • 欠勤控除があった
  • 途中入社の従業員がいる
  • 短時間勤務の従業員がいる
  • 休職や育児休業に入った従業員がいる

このような場合は、算定基礎届の作成時に確認が必要になることがあります。

給与計算の内容が正しく整理されていないと、算定基礎届の確認にも時間がかかってしまいます。

4月・5月・6月の給与データを確認しておきましょう

算定基礎届では、4月・5月・6月の報酬月額を確認します。

そのため、7月になってから慌てるのではなく、日頃から給与データを整理しておくことが大切です。

確認したいポイントは、たとえば次のような内容です。

  • 基本給
  • 残業代
  • 通勤手当
  • 各種手当
  • 欠勤控除
  • 支払基礎日数
  • 入社・退職・休職の有無
  • 社会保険加入対象者の確認

給与計算と社会保険手続きは、別々の業務に見えるかもしれません。
しかし実際には、毎月の給与データが社会保険料の決定にも関係します。

「給与計算はしているけれど、社会保険の手続きになると不安」
という場合は、給与計算と手続きをセットで見直しておくと安心です。

この時期は給与計算担当者の負担が増えやすい

6月・7月は、給与計算担当者にとって確認事項が増えやすい時期です。

通常の給与計算に加えて、

  • 住民税の切り替え
  • 賞与計算
  • 賞与支払届
  • 算定基礎届
  • 社会保険料の確認
  • 雇用保険料率の確認
  • 源泉徴収税額表の確認

などが重なります。

小さな会社では、社長やご家族、事務担当者が、経理や総務、労務、給与計算を兼ねていることも多いと思います。

そのため、忙しい時期ほど、

「確認したつもりだった」
「去年と同じだと思っていた」
「給与計算ソフトの設定変更を忘れていた」
「届出まで手が回らなかった」

ということが起こりやすくなります。

毎月の給与計算を安定して進めるためにも、6月・7月は早めの準備が大切です。

6月・7月の給与計算チェックポイント

この時期は、次の項目を確認してみましょう。

住民税

  • 特別徴収税額決定通知書を確認した
  • 6月給与から新しい住民税額に変更した
  • 給与計算ソフトに正しく登録した
  • 退職者・休職者・途中入社者の住民税を確認した
  • 市町村ごとの納付額を確認した

賞与

  • 賞与の支給対象者を確認した
  • 賞与額を確定した
  • 所得税の計算方法を確認した
  • 社会保険料を確認した
  • 雇用保険料を確認した
  • 賞与明細を作成した
  • 賞与支払届の提出を確認した

算定基礎届

  • 4月・5月・6月の給与データを確認した
  • 支払基礎日数を確認した
  • 通勤手当や各種手当を確認した
  • 欠勤控除や休職者の有無を確認した
  • 途中入社・退職者を確認した
  • 社会保険加入対象者を確認した

給与計算全体

  • 給与計算ソフトの料率・税額表を確認した
  • 給与明細の控除項目を確認した
  • 従業員から質問されたときの説明を整理した
  • 給与計算と社会保険手続きの担当者間で情報共有した
  • 締日・支給日・届出期限を確認した

すべてを頭の中で管理するのは大変です。
毎年同じ時期に確認する内容は、チェックリストにしておくと安心です。

給与計算は「毎月同じ」ではありません

給与計算は、毎月繰り返す業務です。

そのため、つい
「先月と同じように処理すれば大丈夫」
と思ってしまうことがあります。

しかし実際には、6月・7月のように確認事項が増える時期があります。

また、入社・退職、昇給、休職、育児休業、賞与、住民税、社会保険料の変更などがあると、給与計算の内容は変わります。

給与計算を正しく行うためには、毎月の勤怠や給与だけでなく、年間を通じたスケジュールを意識しておくことが大切です。

まとめ

6月・7月は、給与計算に関係する確認事項が増えやすい時期です。

6月は住民税の特別徴収額の切り替え。
夏賞与がある会社では、賞与計算と賞与支払届。
7月は社会保険の算定基礎届。

これらは、毎月の給与計算や社会保険手続きと深く関係しています。

「住民税の変更を給与計算に反映できているか不安」
「賞与計算や賞与支払届の確認をしたい」
「算定基礎届のために、4月・5月・6月の給与を整理したい」
「給与計算と社会保険手続きをまとめて見直したい」
「社長や事務担当者が給与計算を抱え込んでいる」

このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

社会保険労務士事務所キャリア・アヴニールでは、奈良県内の中小企業さまの実情に合わせて、毎月の給与計算や社会保険手続き、労務管理の見直しをサポートいたします。