令和6年度の長時間労働に関する監督指導について

◆令和6年度の長時間労働に関する監督指導

実施事業場の約81%が労働基準関係法令違反

※定期的な監督は14万件以上の事業場にて実施されています。そのうちの長時間労働が疑われる事業場数に監督指導したトピックスになります。

厚生労働省は、令和6年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果を取りまとめ、監督指導事例とともに公表しました。令和6年度の監督指導実施状況のポイントと主な監督指導事例を確認しておきましょう

  • 令和6年度の監督指導実施状況のポイント

令和6年4月から令和7年3月までに、26,512事業場に対し監督指導を実施し、21,495事業場(81.1%)で労働基準関係法令違反が認められた。

<主な法違反>

・違法な時間外労働があったもの→11,230事業場(42.4%)

・賃金不払残業があったもの→2,118事業場(8.0%)

・過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの→5,691事業場(21.5%)

  • 主な監督指導事例/卸売業(労働者約300人)に対して行われた監督指導の事例

1.労働者1人について、36協定で定めた上限時間(月75時間)を超え、かつ労働基準法に定められた時間外・休日労働の上限(月100時間未満、複数月平均80時間以内)を超える、最長で1か月当たり 127時間の違法な時間外・休日労働が認められた。

➡監督指導の内容

〇36協定で定めた上限時間を超えて時間外労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第32条違 反)

○労働基準法に定められた上限時間を超えて時間外・休日労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第36条第6項違反)

○時間外・休日労働時間を1か月当たり80時間以内とするための具体的方策を検討・実施するよう指導

2.また、勤怠管理システム上の残業申請の時間と、出社・退社時に行うICカードの打刻記録との間に、長 い者で1日当たり3時間程度の乖離が発生しているものの、その時間数や理由を確認していない状況が認められた。

➡監督指導の内容

○労働時間を適正に把握するための具体的方策を検討・実施することを指導

○過去に遡って労働者に事実関係の聞き取りなどの実態調査を行い、調査の結果、差額の割増賃金の支払が必要になる場合は、追加で当該差額を支払うことを指導

 

★時間外労働の上限規制など、企業が遵守すべき労働基準関係法令のルールにはさまざまなものがありますので、 違反がないか、定期的にチェックしておく必要があるでしょう。不明な点等があれば、気軽にお声掛けください。